歩行者に合わせて電灯がオンオフされる廊下ってアメリカあるあるなのかな

マーベルが大成功させたマルチバース映画、DCが追従して若干コケてクオリティの高い単品映画の方針で盛り返しつつ、今度はマーベルにもちょっと噛みしてたソニーが堂々参戦ですよ。

 

 

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www.morbius-movie.jp

 

原作通りなんだけど変身するとコウモリ鼻になるのビミョーにかっこ悪いよね。

 

ネタバレあり感想です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モービウス。

幼い頃から血液の病気に苦しめられつつも、その才能を認められ医者としてノーベル賞を受賞するまでになった天才医師マイケル・モービウスは、吸血コウモリの遺伝子を人間に組み込み自らの病気を治療する研究を行っていた。

ついに完成した血清の臨床試験を自ら行い、見事治療に成功し、杖や透析の要らない身体になるマイケル。だがその恐るべき副作用によりマイケルの身体には様々な変化が起こり、人間の血液を渇望する「生ける吸血鬼」となってしまうのだった。

吸血欲求に抗う手段を探す中、同じ病気を持つ幼なじみでありパトロンでもある友人、マイロにコウモリ血清による治療の成功を知られ、血清を奪われてしまう。

マイケルと異なり吸血欲求を楽しみ、人々を襲い続けるマイロ。マイケルは生ける吸血鬼を作り出してしまった責任と、友人としてマイロの凶行を食い止めるために戦いを挑む・・・・・・なホラー風アメコミ原作映画。

ヴェノムに引き続き、スパイダーマンの宿敵をダークヒーローとして描くシリーズで今回で3作目ですね。ちなみに「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」略してSSUって言うらしいですよ、知ってた? 知りませんでした。

 

 

さてモービウス。

そのものズバリ吸血鬼をモチーフとしたキャラクターなので、映画も序盤はホラー仕立てな感じになっています。でもあくまでヒーローvsヴィランの対立がメインなので、ホラー演出はだいぶベタ。でもそれが逆にいいよね、「モービウスは怪物」っていうのが分かりやすく伝わる感じで。

予告編でもあった廊下の電灯が付いたり消えたりしながら近づいてくるやつ、ホラー演出かと思ったら電灯自体は歩いてるところだけ点灯させるただの節電機能で「本当にそんなのあんの・・・?」とか思ってたけど、まさかのムーンナイトでも2話で貸倉庫の廊下がそんな感じであるんだ・・・ってなった。

 

ハンデをもつ天才科学者が自らを実験台に非人道的な治療法を試す、ってもう絶対に失敗するやついいですよね。アメイジングスパイダーマンでもいたしな、リザードおじさん。

貨物船で実験して船内皆殺しだけどヒロインだけ助かってるのとかご都合主義なような本能に忠実なような。

 

モービウスの吸血鬼パワー、エコーロケーションの演出とか超スピードで動いた時にモヤモヤってするのカッコよかったですね。あのモヤモヤなんだろうね、やっぱ血液ってほぼ水分だし、余分な水分を水蒸気として排出してたりするのかな。

飢えて血液パック飲むときも破いたりせずにちゃんとチューブから飲むのお行儀よくていいね、なんかあるんすかね、血液パックを破いたらだめな表現規制みたいなやつ。

 

吸血鬼になってヒョロガリから細マッチョになってましたけど、なんとなく気流に乗って飛んだりするならヒョロガリのままのほうがよかったんじゃないって気もしますね。多分これはるろ剣のせいです。ゴブリンバットー!

 

 

今作はとにかくモービウスがメインの話だったんですけど、そのモービウスの描写にブレを感じるというか、シーンごとにキャラ変わるのに見てるこっちがついて行きにくいというか。

子供時代から序盤までの「理知的で厭世家だけど優しい天才医師」みたいな部分が吸血鬼になってからは全く出ずに、すぐ怒鳴るし誰にも頼らなくなるし言葉も足りないキャラになったように感じてしまったんですよね。その奥に本能に忠実で獰猛な吸血鬼が潜んでるって言われてもそれ二面性どころか三面性くらいないスか? って思ってたら急にウキウキで偽札工場乗っ取りに行ったり屋上でヒロインと唐突にキスしたり「急に力を手に入れた主人公」あるあるのムーブやるし、とにかくマイケル・モービウスの言動が常にチグハグに感じられて感情移入できなかったんですよね。

偽札工場襲った時に急に「俺はヴェノムだ」って言い出したとこ、普通ならあっちゃんと有名なんだwとかなりそうなのに全然ならなかったしね、どっちかというと何で急にジョーク言い出したのって引いた。

 

 

とにかく映画全体が一定のテンションで進行していくので単調に感じちゃいましたね。

マイケルの身に覚えのない被害者が!?とかパワーを得たマイケルがウキウキでリーサルプロテクターごっこ!とか一瞬やるけど、本当に一瞬で真犯人出てくるしリーサルプロテクターごっこも一回しかやんなくてすぐ元のテンションに戻るから108分で見せなきゃいけないタスク消化の様子を見てる気分というか。

しかもその消化しないといけないタスクの中身もベタベタなダークヒーローものなので「知ってる知ってる、はいはいこういうやつね」って段々眠くなる感じ。

マイケル自身の吸血衝動の苦しみや、自分が吸血鬼を生み出した責任を取るために自らの手で親友を殺さなくてはいけない葛藤、みたいなのもあんまり伝わってこないのでカタルシスが弱いですよね。

 

じゃあこの映画で一番の期待ポイント、マルチバースはどうだ!って思ったら結局トゥームスおじさんは最後にちょろっと出てくる上に、よく分かんないけどマルチバース超速理解した上でなんかしれっとバルチャースーツ作って登場するし、しかもそこでトゥームスと手を組むのってそれはそれでまたマイケルのキャラクター崩壊してない?みたいなとこで終わるっていう肩透かしっぷり。

そもそもなんでNWHの魔術パワーでトゥームスがSSU世界に来るのかも不可解ですしね。

 

 

マイロだけがとにかく良かったですね。分かりやすいハンデとコンプレックスからの解放のキャラ変。ケレン味たっぷりに楽しみながら犠牲者を増やす様。杖を捨てスーツで街に出るところも、歩き方だけでウキウキしてるのが伝わるのとか。

マイケルへの歪んだ愛情みたいなのもめっちゃ好き。ヤンデレのお兄さんが一番厄介ってヒーロー好きならみんな知ってるやつ。

序盤のマイケルとマイロが二人で散歩して公園デートするとことかめっちゃ良かったですね。

 

 

モービウス。ヴェノム1,2が良かっただけに変にマルチバース意識するんじゃなくて、単品で独自の雰囲気出してほしかったですね。個人的にはちょうどダークナイトアベンジャーズの頃に出てしまったグリーンランタンと同じ匂いを感じちゃいました。逆オーパーツ的な。

キャットウーマンとかデアデビルとかやや古めのヒーロー映画が好きなら好きかもしれないですね。