ドアンさんがめっちゃカッコよかった話

ククルス・ドアンの島、めっちゃ昔に見たけど2時間の映画になるような話じゃなかったよね…?

 

 

 

g-doan.net

 

原作要素をしっかり入れつつ普通に1本の映画としてめちゃくちゃ出来が良かった。

 

ネタバレあり感想です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島。

宇宙世紀0079、後に一年戦争と呼ばれることになる地球連邦とジオン公国との戦争の真っ只中。地球連邦軍の独立部隊・ホワイトベース隊は地球に侵攻するジオンの本拠地、オデッサ攻略作戦に備え補給のためにベルファストに寄港していた。

そんな中、ホワイトベース隊に無人島に潜む敵を殲滅する任務が与えられる。アムロとカイはそれぞれMSに乗り島の調査へ向かうが、そこでカイは無人島にいるはずのない子供たち、アムロガンダムは1機のザクに遭遇する。

戦闘の中ガンダムを失い、島にひとり残されるアムロを助けたのは、ザクに乗っていたジオン兵パイロット、ククルス・ドアンと彼の保護する子供たちだった。

…な機動戦士ガンダムアニメシリーズ第15話を原案としたリメイク?映画。

 

映画見たあとにアニメの方も改めて見たんですけど、わりとビックリするほど流れは原案そのままでしたね。

って言っても30分にも満たないアニメの1話分なので、再現がすごい!ってほどではなく、どちらかというと原案の雰囲気やメッセージを変えずにククルス・ドアンというキャラクターを再構成して、1本の映画としてここまで完成度を高めたのがすごい気がします。

 

 

アムロやカイなどのホワイトベース隊は普通にアニメやORIGINのイメージのまま、なんとなく緩くて牧歌的な雰囲気は、最近ハード目な作風が多かったガンダム作品のなかで安心感すら覚えます。

内向的でナイーブな少年って雰囲気のアムロ、お調子者で問題児タイプなカイやスレッガー、そして天真爛漫なカツ・レツ・キッカ。懐かしいなこういうのって感じ。

泣き虫なフラウ・ボウとかも可愛いですよね。ミライさんはなんとなく大人なお姉さんな感じ、ブライトの部屋に来るとことかなんかえっちじゃなかった???

ブライトさんがザ・中間管理職な感じで大変そうでしたね。上層部とクルーに振り回されつつ最終的にしれっと上層部無視してアムロ救出を見逃すの、ロンド・ベルの片鱗が見える。普段はビシッとしつつポロッとミライさんにはくだけた口調で愚痴ったりするの良かったですね。好き。

 

 

ククルス・ドアンはなんかもう新キャラでは???ってくらい設定増えてましたね。もともと腕のいいパイロットな雰囲気でしたけど、シャアに並ぶくらいの有名人にまで大出世。でも実際劇中の活躍見てるとイーサン・ハントか?ってくらいなんでもこなす強キャラになってましたね。

 

島の子供こんないた???って思ってたけど原案見たらやっぱり4人しかいなかったね。カーラに名前変わってたのはやっぱりロランだとターンエー乗りそうだからかな。

ドアンとカーラもなんか色っぽい雰囲気あってよかったですね。ドアンは手出さなそうだけど。特に描写されてるわけじゃないけど、ドアン←カーラ←マルコスで三角関係みたいになってるとすごく好みのやつなのでマルコスはカーラに恋してくれ。そんでドアンは俺はそういうの関係ないからみたいな顔しててくれ。

 

無人島で集団生活してるわりには結構みんな小綺麗な格好してるし、おもちゃやパンまで用意されてるし、今作のドアンの有能っぷりが如実に現れてて面白い。

 

今作のドアン、エースパイロットってだけじゃなくてソロで諜報活動まで任されてるからマジでめちゃくちゃ優秀な人材ですよね。

そりゃあんな余裕たっぷりの大人な雰囲気だし、いい声にもなるぜ。CV武内駿輔なの普通にびっくりしちゃった。貫禄出すぎでしょ。

 

 

主人公はアムロくんですけど、どちらかというと狂言回しの役目が殆どで、映画内で描かれるのはほとんどドアンについてのあれこれでしたね。

アムロの目を通してククルス・ドアンの冒険の最終章を見守る、みたいな。

 

そうこの映画「アムロの目を通したククルス・ドアン」を描くので、ひとつ面白いのがククルス・ドアンの苦悩や苦労は色々スキップして、ひたすら少年アムロが出会ったカッコいい脱走兵ククルス・ドアンを集中的に見せてくるんですよね。

お話もちゃんとガンダムなんですけど、やってることってわりとミッション・インポッシブル的なスパイ映画ですし。悪い国家が撃とうとする核ミサイルを止めるのが君のミッションだ、なんてスパイの王道ですよ。

そもそも、サザンクロス隊が島を強襲した時点でドアンの暗躍によって核ミサイルの無効化は終わってるわけなんで、「世界を救う」的なポイントはマジでドアンだけで終わってるんですよね。

 

スパイ映画なら組織を裏切った諜報員ククルス・ドアンがミサイル設計図を手に入れるために活躍したり、親を失った子供たちを助けたりするシーンがあるところがあるんだろうな~~~って思いつつ、そのミッション・インポッシブルなストーリーのラスト30分くらいをたまたま少年アムロが主人公の「機動戦士ガンダム」と被った、くらいの雰囲気。

昔の冒険小説っぽくもありますよね、海底2万マイルみたいな。ネモ船長やノーチラス号が舞台装置として出てきて仲良くなった主人公に聞かせてくれたぐらいしか過去のエピソードなんかは語られない、みたいな。

 

詳しく描写されないし本人も多くは語られないけど、サザンクロス隊の反応なんかで大物っぷりを表現される伊達男、ククルス・ドアン。おしゃれなやつ。

 

 

おしゃれで行くとマ・クベやゴップ元帥も良かったですねー。

パリは燃えているか?」を引用しながら戦術核兵器の駆け引きをやるとことか、実際に作戦が失敗した時のマ・クベの反応とかね、激昂するでも悔しがるでもなく、高笑いしながら去っていく。文化芸術を愛するマ・クベですから、その破壊が為されなかったことに「これはこれで満足」したのか、まさに「パリは燃えているか?」と同じく部下の手によって止められたことが感慨深いのか、余裕たっぷりな様子がカッコいい。

まぁオデッサ攻略されたらその後どんどん余裕なくなってくんでしょうけど。

 

ゴップ元帥は終始余裕たっぷりに振る舞っておいて最後の一言がまたズルい。

 

 

全体的にキャラ付けもケレン味が強めで面白く、また他シリーズとの繋がりも薄いので個人的には逆シャアと同じくらい単品で楽しめちゃう、ガンダムビギナーにもおすすめできるいい映画でした。ククルス・ドアンの島。

正直ここまで楽しめるとは思ってなかったので、わりとびっくり。サブスクとかで配信されてたらちょくちょく見ちゃいそう。