学校でのいじめって、世界が狭いゆえの逃げ場のなさとか、
大人の信用できなさとか、理解してもらえなさとかありますよね。
幸運なことにいじめられることはそんなに無かったんですけど、
それでも「もし自分があの立場だったら」って思うと下手な殺人鬼より怖いですよね。
www.warnerbros.com(日本の公式サイトがドメイン取られてて映画インテリジェンスとかいう怪しい誘導サイトになってた、草)
たとえドウェイン・ジョンソンになってもトラウマは消えないんだよ、っていう、
いじめの当事者以外に訴えかける映画でした。
ネタバレあり感想です。
高校時代はヒーローだったけど、今は冴えない中年サラリーマンな日々を送っていた主人公・カルヴィンのもとに、
当時いじめにあっていた元同級生・ロビーから連絡が来たと思ったら、
なんと彼は鍛えに鍛えて今はすっかりドウェイン・ジョンソンになっていた!
そして主人公はロビードウェイン・ジョンソンに巻き込まれて大変な目に!
…なコメディアクション映画。
ドウェイン・ジョンソンが演るやや人との距離感を分かっていない、
そしてややキモい元いじめられっ子の演技がなんか妙にリアル。
肉体的には変身したし、瞬間移動や瞬間片付け能力(ギャグ補正)まで手にしたけれど、
精神的には全然引きずっているのもなんか妙にリアル。
裸にトラウマがあるから女性と寝る時は真っ暗、
友達が作れなくて同僚に話すのは高校のヒーローの話ばかりで、
当時のいじめっ子と再会すると身体が強張って何もできなくなる、っていう
ただの「えっ、いじめられっ子がドウェイン・ジョンソンに!?」っていう話のフックだけで終わらずに
凄腕エージェントなロビーの明確な精神的な脆さとして描かれているのが面白い。
主人公・カルヴィンは逆に栄光の学生時代と、現在の自分を比べてすっかり自信をなくしてしまっていて、
そんな自分を当時のように持ち上げてくる今のロビーにイラついたりするんだけど、
そんな二人が物語が進むうちに互いの弱さを補完しあって、
カルヴィンは自信を取り戻し、ロビーは過去のトラウマを払拭して、相棒として新たな冒険を始めるエンディングが良いですよね。
ロビーが「身体の内側に押し固めて沈めてる」と語り、そして全然引きずっていたトラウマを、
カルヴィンが手を貸すことである意味当時の出来事をやり直して、
楽しい思い出、成功の体験で上書きすることでトラウマから自分を解放してあげるストーリーは、
とても説得力があって気持ちよく見終われましたね。
ただそんなストーリーが絡んでるせいでスパイ・エージェント的なストーリーのほうはやや退屈にはなっちゃうんですけど。
なんだろね、多分「謎の黒幕」とか「CIAに疑われて追われてる」とかちょっとややこしいことやってるせいだと思うんですよね…。
でも多分イントロもシメもいじめの話してるから多分「元いじめられっ子」が主題の作品なんだと思います、これは。