夏の春映画はただの春映画じゃなかった話

平ジェネFOREVERの感想ってどんなの書いてたっけなって見返そうと思ったら、まだブログに分けて書いてない頃だった。

 

え…アレそんな前だったの…? 2018年…? 嘘でしょ…。

 

よくよく考えたら令和も3年だもんな、当然じゃん…。

 

 

f:id:DABUBELL:20210803005409p:plain

movie-rider50-ranger45.com

 

そんな令和初の戦隊×ライダーのお祭り映画見てきました。

ネタバレあり感想です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スーパーヒーロー戦記

かつて「春映画」と呼ばれた昭和・平成ライダー、さらには戦隊ヒーローやメタルヒーロー快傑ズバットキカイダーまで共演した東映特撮ごった煮お祭り映画シリーズ。

細かい辻褄やよくよく考えたら原典の設定的にはおかしくない?みたいな部分で批判されつつも、夢のヒーローが共演するってだけで見てる側の感情をワクワクとエモーショナルでぶん殴り倒していったアイツが、仮面ライダー50周年&戦隊ヒーロー45周年のWアニバーサリーでとうとう令和の世に蘇る!

 

夏に!

 

という感じで夏の春映画という謎の称号を得た、久しぶりの東映特撮ヒーローのクロスオーバー作品ですね。

 

 

仮面ライダーセイバーの世界で「禁書」と呼ばれる他の世界のヒーローの物語の封印が解かれたことで、仮面ライダー・神山飛羽真たちはゼンカイジャーの世界に、ゼンカイザー・五色田介人たちはセイバーの世界に飛ばされてしまい…から始まるストーリー。

途中で出てくる謎の鈴木福さん、ショウタロウの登場も含めて全体的な流れは今までの「春映画」や、同じく仮面ライダーのクロスオーバーシリーズである「平成ジェネレーション」に近いもの。ヒーロー達が物語の中の存在である、という点も含めると「平成ジェネレーションFOREVER」に相当似通ったテーマを序盤から感じました。

なのでわりとこう、舐めた態度で見てたんですけど…。

 

いや、この映画すっごい。めちゃくちゃに調理が上手い。

まず「ヒーロー達は物語の中の存在」っていう部分が微妙に平ジェネFOREVERとは違ったニュアンスになっているんですよね。

平ジェネFOREVERは「物語の存在だけど、かつて仮面ライダーと一緒に育った人々の記憶に残り続けるし、今もライダーを応援する人もいるし、そんな彼らがいる限りライダー達は立ち上がるし戦い続ける、戦い続けられる」みたいな、ヒーローと視聴者との関係がテーマになっていたんですけど、

スーパーヒーロー戦記では今度は視聴者ではなく原作者・石ノ森章太郎を中心とした制作者側をテーマに置いて、「物語の存在だけど、物語の中で生きているヒーロー達は自らの意思で物語を変えるし、作者の死後も物語は続いていく」みたいな話の展開をしていくんですよ。

 

それぞれに登場する、ヒーロー達と関わるゲストキャラクターを比較するのが分かりやすいですね。平ジェネFOREVERの久永アタルは仮面ライダーが大好きな高校生。スーパーヒーロー戦記のショウタロウは、自らが描きたいヒーローを模索する若き日の石ノ森章太郎

似たような構図に見えて、全く違う視点から「僕たちとヒーローの関係とは?」をテーマにしているから、平ジェネFOREVERが観客への「仮面ライダーを好きでいていいんだよ」みたいなユルシや、いつでもライダーは君と一緒に戦う、寄り添うメッセージの作品だったのに対して、スーパーヒーロー戦記は制作側の造物主・石ノ森章太郎に対しての感謝やリスペクト、これからも続いていく決意みたいなものを表明するような作品になっているんですよね。

 

えもーーーーい。

 

序盤で飛羽真が語るスランプの原因が、そのままショウタロウがヒーローを描くのを辞める理由に繋がっていくのもいいですね。同じ悩みだからこそ、自らの造物主であるショウタロウに自分の気持ちを伝えられるし、それは自分の悩みの解消にも繋がっていき、二人で物語を生み出していく。

なんならセイバー本編より飛羽真の小説家設定うまく使ってない?

 

ゼンカイジャーが非公認ギアを使ってアキバレンジャーの力を使ったのも結構印象的でしたね。

ヒーローが沢山登場!の流れで出てきたので普通にファンサービスの一環だとは思うんですけど、それでも今回は石ノ森章太郎が深く物語に関わるお話ですし、原作者・八手三郎が黒幕として出てくるアキバレンジャーをあえて登場させたのは「分かってる?」的な深読みメッセージを受信せざるをえないというかなんというか…。

 

あとはそのヒーロー沢山登場!のところで、科学で戦うヒーロー、お仕事でヒーロー、魔法を使うヒーロー、時間がテーマのヒーロー、って各ライダーや戦隊の属性で分けて戦わせたあとに敵に「似たような要素で被ってんじゃん!」って言わせるのズルかったですね。沢山登場!で出てくるヒーロー達の頭の上に番組ロゴつけるのもズルい。なんならジュウオウイーグルとかが飛行してる時に番組ロゴも一緒に縦横無尽に飛ぶのがホントにズルい。

1回エモさで殴られてからギャグじゃん!みたいな演出した上でもう1回藤岡弘、が本郷猛としてショウタロウと言葉を交わすとかいうエモさで殴ってくるのやめて欲しい、交互浴かよ。ヒーローがヤケクソ気味に決め台詞言ってくあたりもうエモいのかギャグなのか分かんなくなってたよ。どれも出来がめちゃくちゃ良いのでめちゃくちゃ楽しい…楽しいのはたしか…。

 

過去作からの客演も豪華でしたね、最近のジオウやゼロワン、キラメイブルーから、ちょっと古い作品でドギー・クルーガーにシンケングリーン。常連のイマジン組だけじゃなくて石丸謙二郎も出るし、ショウ・ロンポーとラプターは変身しないのかな…と思ったら変身するし、ジオウはオーマジオウまでしれっと出るし。

シンケンジャーは個人的に思い入れ深い作品なので、久しぶりの谷千明はめちゃくちゃ嬉しかったですね。鈴木勝吾めっちゃかっこよくなってるやん…。しれっと殿様超えなきゃって言うやん…。千明と時雨が変身前のまま切り結ぶとこも2.5次元舞台みたいでカッコよかったね。

でも客演組だとMVPはかつてないハイテンションで爪痕を残しに残した飛電或人ですかね…。本編でも見たこと無いテンションで、しかもイズ不在で放たれる「ハイ!!!!或人じゃあ~~~~~~~~ないっとぉぉぉぉ!!!!!!」ぐらいのやつ、ヤバすぎて大好き。

 

もちろん細かい設定の本編との食い違いとか、理屈のおかしさは多少あるんですが、今までで一番参加作品の設定や経緯みたいなものを上手く組み合わせたストーリーや、今まで以上のお祭り感の楽しさや目新しい演出への挑戦があり、とても楽しい映画でした、スーパーヒーロー戦記

 

 

仮面ライダーバイスバイスのキャラクター楽しいし面白くて好きなんだけど、あのテンションで1年続くとしたらしんどすぎるので多分本編だともうちょっと普段は控えめだったりする…よね…?