宗教観の違いの話

映画の予告編みた時になんとなく、これ自分向けじゃない気がする!みたいな直感はたらく時ありますよね。

 

あれなんなんでしょうね。

予告編の作り方的に見せたい客層を悟ってるのか、単純に賞とかで推してくる感じが嫌いなのか。

 

 

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marvel.disney.co.jp

 

ばっちりその予感が当たった映画でした。

 

ネタバレあり感想です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エターナルズ。

宇宙の大いなる存在セレスティアルズに生み出され、知的生命体の天敵であるディヴィアンツから人類を守るために地球に派遣された不老不死の超種族、エターナルズ。

有史以前から人類を護り、見守り、時に導いてきた彼らは、地球のディヴィアンツを駆逐した後、帰還命令を待ち密かに地球に潜伏していた。

しかしある日、殲滅したはずのディヴィアンツが再び姿を現したため、彼らは集結することになる・・・。

MCUシリーズの26作目。

 

セレスティアルズはMCUでは過去にガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシーでチラッと出てましたね。

GotGでコレクターのいた惑星ノーウェアはセレスティアルズの亡骸だったり、GotG2で出てきたエゴはセレスティアルズを名乗っていたり。

今作に登場するセレスティアルズはエゴとは割とかけ離れているというか、どっちかと言うとノーウェアの亡骸寄りの存在っぽかったですけど・・・同じ存在なんですかね?

 

 

エターナルズの見どころはなんといっても個性的で、多国籍で、多様性のあるヒーローたち。

なんですけど、この映画だいたい全部そのエターナルズ内の内ゲバと痴情のもつれなんですよね。

メンヘラスーパーマンがヘラって地球滅ぼそうとするけどもっかいヘラって最終的に太陽に投身自殺するのを見守りつつ、そこを中心とした上位存在のドロドロ人間関係を見る映画というか・・・。

 

ずっと静かな雰囲気で進行するのはエターナルズの神秘性とか神聖さがあってアリかなとは思うんですけど、肝心のエターナルズが上位存在のわりにすーぐウジウジするのも相まっちゃって、スーパーパワーの不老不死が世紀単位でなにしてんの・・・?みたいな・・・。

 

 

それぞれの関係性やキャラクターは好きでしたね。

不老不死ゆえにずっと子供の姿のままで、想い人に恋愛対象とすら見てもらえないとか、

暴走の危険がある超強い女の人を保護しつつ、いざとなったら自分が止める超強いマ・ドンソクとか、

超強いリーダー的存在に憧れて尊敬しつつも、その主義主張には賛同できなくて板挟みになった結果戦いの場から距離を取っちゃうとか。

喋れないから手話で話す子とかも可愛かったですね。

でも造られた不老不死の超種族エターナルズが喋れないってそれなんかどうなんって感じがするけどうわこれ炎上しそうこわっ。

 

普通に序盤のセルシとデインとスプライトの3人の日常とか見たかったな。

めっちゃ仲良さそうだもん。

潜伏してたのにインフィニティ・ウォーに参戦しなかった理由の言及とか親切設計って感じね。

 

目からビームを出して空を飛ぶエターナルズ、イカリスを「スーパーマン」とか「クラーク・ケント」でからかうのとかビックリしましたね。

MCU世界、スーパーマンの概念あるの!? これなんかの伏線だったりします!?

スターウォーズもあるしバック・トゥ・ザ・フューチャーもあるMCUに新たな展開ですよ。

 

 

まぁそんな感じなんですけど、基本的なエターナルズのスタンスが「弱い人類を護ってあげなきゃ」「人類を導いてあげたい」なのがそもそも自分向けじゃないっていうか、違う宗教なんですよね。

見守り型上位存在というか、わりと一神教的なスタンスなんですけど、その上から目線が気に食わないというか。

 

特に技術者系エターナルズ、ファストスさんがわりと大嫌いでして。

技術を与えるエターナルズなので、人類が大量破壊兵器とか作ると自分のせいだって泣いちゃうんですよね。彼。原爆投下後の広島を目の当たりにして、めちゃくちゃ悔やんでも悔やみきれない・・・っていうその設定が大嫌いで。

ある種ファストスさんの存在って、逆に言えば人類の叡智への否定になるなって感じちゃったんですよね。

人類が生み出したあらゆる技術の責任がファストスさんにあるって言われるのって、つまり全部ファストスさんがいないと生み出されなかったってニュアンスに聞こえちゃうというか。

それこそ原爆投下っていう悲惨な事件の罪悪感をファストスさんに担保させようなんての、そういう方向で現実逃避するのは、流石にダメじゃない?というか。

今までの人類の発展に対する侮辱に近いし、もっと小さくMCU内の話にすると、今までのトニー・スタークやワカンダを筆頭とする技術者ヒーローを貶める行為だと思うんですよね。

 

同じMCU内でそういう設定が出ちゃったのが、ただただ残念。

ファストスさんのキャラ自体は嫌いじゃないんですけどね。家族想いだし。

技術系なのにいざとなったら戦闘系エターナルズと普通に渡り合うのとかいいやん。

 

 

あとはとにかくイカリスさんが嫌いな要素の詰め合わせみたいな存在でしたね。

最高のヒーローはキャプテン・アメリカだと思ってるから、メンヘラ上位存在が地雷過ぎた。

彼女と破局して数世紀単位で病んじゃうし、結局自分の目的果たせそうだったのにヘラって負けるし。

スティーブ・ロジャースとサム・ウィルソンを見習え。

 

っていうかラストバトル、CGで絵面は派手で綺麗だったけど内容ひっどいですよ。

ディヴィアンツは結局何したいのかよく分かんねえまま、セナを足止めしてイカリスと戦わせないようにするためだけに参戦してるし、

キンゴはどっちにも付けないって来ないままマジで最後まで来ないし、

そもそもイカリス、あんな最後の最後にトドメさしたら勝ちって瞬間に結局できなくて負けを選ぶとか、悪役失格にも程がある。

結局エターナルズの痴情のもつれに巻き込まれて色んな人が迷惑したり怪我したり死んだりしただけじゃねえか。

 

上位存在たちの些細な変化のために地球滅びかけました、みたいなことやっといて、

それでもまだ自分たちはエターナルズ、今度は宇宙を守るわ。みたいなテンションなのがな、うん、嫌いだーこういうの。

 

文句なく好きだったのはセナとギルガメッシュとか、ドルイグとマッカリとかだったなー。誰もメインどころじゃないっていうね。

 

 

エターナルズ、個人的にはオススメじゃない映画でした。