大怪獣のあとしまつの話

インタァーネットが非常に嫌いな雰囲気になってたせいで逆張りのオタクが発動してしまった。

 

 

 

f:id:DABUBELL:20220204232852j:plain

www.daikaijyu-atoshimatsu.jp

 

ネタバレあり感想です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大怪獣のあとしまつ。

突如現れ、日本中を恐怖に陥れた怪獣が、ある日突然死亡する。

脅かされる日々が終わり、破壊の傷跡は残しつつも平穏な日常がようやく訪れたと思ったのも束の間、次なる試練が人々に与えられる。

 

この巨大な死骸、いったいどうする?

 

…な、怪獣映画のその後を描く特撮映画。

もっと正確に言うと、特撮"パロディ系コメディ"映画。

そもそも監督、時効警察とか、コメディが得意なひとなんですよね。

予告の時点で山田涼介が「えーっ!」ってリアクション取ってたり、オダジョーが爆発背負ってキメてたり、ギャグっぽい雰囲気出てたし、少なくとも「大真面目な特撮映画ではないぜ」くらいは感じ取れるんじゃないのって思うんですけど…。

 

いや盛り上がってますねインタァーネット。これはクソ映画だ!って棒持って叩いていいみたいな雰囲気を感じ取って棒持って叩いてますね。

そこまでか~?

「令和のデビルマン」は言い過ぎだし、クソ映画って皆で騒ぎたてるのが楽しいからやってるだけでしょ、どうせ。

 

まぁ、「怪獣の後処理」なんてテーマの怪獣映画なんて面白そうに決まってるし、実際に作中でもダム爆破のくだりやガス溜まりの緊張感みたいな部分のクオリティなら全然「怪獣の後処理がテーマのシン・ゴジラ」ができそうな雰囲気はあったし、

その見たかった部分の代わりに見せられるのが愚かな大臣のグチャグチャと下らないシモネタと土屋太鳳のキスシーンだったんだもんな、分かるよ、言いたいことは分かる。

 

 

個人的には序盤が特に楽しくないシーンが多くて辛かったですね。

知性の感じられない大臣達の愚かで幼稚なグチャグチャ言い合うのとか、記者の囲み取材のシーンとか、シンプルにつまんなかったですね。好みじゃなかった。

あとは劇中の「賢そう風」「謀ってる風」「理解ってる風」みたいな会話が全部頭悪そうで何も中身なかったのとかね、これも主に大臣達ですけど。

マジで六角精児と岩松了が大嫌いになりそうでしたね。

 

 

逆にいいなって思ったのは眞島秀和とか松重豊とか菊地凛子ふせえり、オダジョーあたりですかね。特に地味に出番の多い眞島秀和は真面目シーンはシン・ゴジラ的な役どころ、コントの瞬間はキャラの雰囲気を崩さずちゃんとクスッとさせてくるって感じで上手かった感想。

「怪獣処理の専門家」って触れ込みで菊地凛子が出てくるのとかね、シンプルにズルいですよね。失敗したのは多分2人心を合わせてやらなかったからだと思う。兎を追いかけるな!

 

 

3年前のアラタの失踪とか、レストランでの密会、ダム爆破、キノコ人間あたりは雰囲気も良かったですね。

コントシーン、クオリティの高い特撮シーン、アラタの人間描写、みたいなバランスは悪くなかったと思います。ダム爆破は緊迫感あって好きでしたし、アラタとユキノの関係性も不要なラブロマンスとは感じませんでした。

タイトル的にはゴジラと見せかけてどっちかというとウルトラマンパロディなんですよね。だからアラタは秘密を抱えているし、最終的にヒロインにそれを明かして去っていく。

ギャグのネタがね、なんかこう、オッサン臭いというか、うわーって感じなのは否めないですね。そこの拒否反応はどうしても出ちゃうと思います。

 

結局のところ、期待を持たせちゃう公開前の雰囲気が悪かった気はしますね。

怪獣自衛隊とか怪獣8号とか最近のリアリティ高い怪獣作品も多かったですし、なんなら怪獣8号で怪獣処理業者描いてたし。

 

いったん深呼吸して見れば、完成度の高いVFXを使用したパロディ特撮映画として、一定のクオリティはあると思います。

 

 

 

一番の問題はオチなんですけどね。

 

感想が難しいんだよな、この映画のオチ。

 

終盤まで愚かな日本人は足を引っ張りあい続けて、結局もうどうしようも無くなった瞬間にアラタが光の巨人「デウス・エクス・マキナ」に変身して、今までさんざん苦労してどうにかしようとしてた怪獣の死骸をあっさり宇宙に運んで終わるんですけど。

これめちゃくちゃ正しいデウス・エクス・マキナなんですよね。

なんなら最初から存在は示されていたし、中盤以降は絶対アラタがデウス・エクス・マキナなんだろうなって雰囲気もバンバンですし。

最初に西田敏行が呟いたセリフは怪獣はデウス・エクス・マキナ的な手法で雑に殺されましたよ、っていう意味かと思ったら、オチもデウス・エクス・マキナっていう叙述トリック(?)だし、観客は展開的に絶対アラタがウルトラマン的な存在なんだろうって推測するけど劇中で明確にウルトラマン的な存在が描かれないから、最後の変身でカタルシスもあるんですよね。

山田涼介の変身ふつーにめちゃくちゃカッコよかったね。

 

これデウス・エクス・マキナっていう要素をめちゃくちゃ正しく、しかも効果的に使ってるのがすげーーー好印象なんですけど、そもそも令和の世にデウス・エクス・マキナで映画作るんじゃねえよって話なんですよね。マジで。

 

 

A級俳優とA級技術で作られたB級映画、個人的には楽しかったです。一応オチ込みで。

せっかくならパロディじゃない、めちゃくちゃキッチリ「シン・大怪獣のあとしまつ」も見たい気持ちもやっぱりあるけど。

それよりインタァーネットに腹が立ったねってお話でした。ちゃんちゃん。